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営業代行の失敗10例と改善策を徹底解説
2025年11月26日
営業代行でよくある失敗10例(序章)
営業代行は営業リソース不足や商談創出を加速させる強力な手段ですが、その一方で「思ったより成果が出なかった」「期待したほどではなかった」という声も少なくありません。
その多くは、営業代行そのものが悪いわけではなく、事前設計や認識のズレが原因です。営業代行は“丸投げするサービス”ではなく、依頼側と代行側が役割を明確にして初めて機能します。
本章では、営業代行の実務全体(テレアポ/インサイドセールス/商談代行/営業BPO)を俯瞰し、現場で最も多く発生する失敗例を紹介します。
営業代行でよくある失敗10例(実務全体の本質)
① 期待値がズレたまま契約してしまう
営業代行は「何をどこまでやるのか」が会社によって大きく異なります。アポ獲得のみ、商談まで、案件化まで、提案までと範囲が違うにもかかわらず、契約前に期待値を揃えないことで大きなズレが生まれます。
依頼企業は「商談までやってくれると思っていた」、代行側は「アポだけの契約だと思っていた」というように、スタート時点で認識が異なると成果は絶対に伸びません。
② 目的(KGI)が不明確なまま依頼してしまう
営業代行導入の目的は本来「売上増加」「案件創出」といったKGIであるべきですが、多くの企業は「アポ数を増やしたい」という部分目的をKGIのように扱ってしまいます。
KGI(ゴール)が不明瞭なまま進めると、アポが増えても売上につながらない、商談の質が低い、どこが改善ポイントか分からないなどの問題が起きます。
③ 営業プロセスのどこを外注するか設計していない
営業代行と一口に言っても、実際の営業プロセスは以下の通り複雑です。
- ●リード獲得
- ●インサイドセールス(SDR/BDR)
- ●テレアポ(アウトバウンド)
- ●商談(オンライン/訪問)
- ●提案・見積
- ●クロージング
- ●導入後フォロー
- ●CRM管理
このうち、どの工程を外注するのかを言語化しないまま依頼すると失敗します。
テレアポ代行に商談品質を期待したり、インサイド代行にクロージングを期待したりなど、役割のミスマッチが典型例です。営業代行でよくある失敗10例(続き)
④ ターゲットがズレている(営業代行全体で最も多い失敗)
営業代行の成果を大きく左右するのがターゲット設計の精度です。
よくある失敗は「業界」「従業員規模」「地域」など属性だけで定義してしまい、実際に成果につながる“決裁者・課題・導入タイミング”まで落とし込めていないケースです。ターゲットがズレていると、リストもズレ、スクリプトもズレ、商談温度もズレてしまい、結果として「成果が出ない」という事態につながります。
⑤ リストが不適切・精度が低い(営業代行全体を揺るがす問題)
営業代行の成果を決定づける要素のひとつがリスト精度です。
代行会社は外部の人間が営業するため、内部営業と比べてもリストの善し悪しが極端に成果へ影響します。NG企業を除外しない、ターゲット外の企業が大量に混じる、優先度がついていないなどの状況では、高い成果は期待できません。
営業代行においてリスト精度は「生命線」と言えるほど重要です。⑥ 商材理解が浅いまま外注してしまう(商談代行で致命傷)
営業代行は魔法ではありません。
どれだけスキルの高い代行会社でも、依頼企業側からの商材理解の共有が不足していると成果は出ません。とくに商談代行では
- ●顧客の課題
- ●競争優位性
- ●過去事例
- ●導入ステップ
- ●ROI(費用対効果)
などを明確に把握していないと、商談の質が上がらず、成果につながらない状況が続きます。
⑦ KPI設定を誤る(インサイド/商談代行でも多い)
営業代行導入時に「架電数」「アポ率」など部分的なKPIだけで評価しようとしてしまう企業が少なくありません。
本来、営業プロセス全体としては
- ●MQL(マーケ起点のリードの質)
- ●SQL(商談化の質)
- ●商談化率
- ●案件化率
- ●受注率
- ●CAC(顧客獲得コスト)
など複数のプロセス指標で判断すべきです。
KPI設計を誤ると、「アポは取れているのに売上につながらない」などの状態を招きます。営業代行でよくある失敗10例(後半)
⑧ コミュニケーション不足/フィードバックが遅い
営業代行は「高速改善」が成果を生むサービスです。しかし、依頼企業側の情報提供が遅れたり、商談内容の共有がなかったりすると、代行会社は改善ポイントを見つけることができず、成果が伸び悩みます。
成功している企業ほど、代行会社とのコミュニケーションが密で、商談情報・リスト改善・反応傾向などを迅速に共有しています。
⑨ 代行会社の“業界適性”を見誤る
営業代行には必ず「得意業界」が存在します。
SaaSに強い代行、人材紹介に強い代行、製造業に強い代行、商談代行が得意な会社など様々です。ところが、依頼企業が業界適性を無視して依頼してしまうと、提案の質が低下し、成果が出ません。
営業代行は“営業力”よりも業界理解×提案構造の再現性の方が成果に影響します。⑩ 短期間で成果を求めすぎる(最大の勘違い)
BtoB商材では「成果が出るまで90〜180日」が一般的な営業サイクルです。
にもかかわらず、1ヶ月以内の短期で判断しようとすると、改善が回る前に解約してしまい、本来得られる成果を逃します。営業代行は短距離走ではなく、中距離走です。適切な判断期間を設定しないと、正しい検証ができず、成果につながりません。
失敗を防ぐための改善策(前半)
① 期待値コントロールと業務範囲の可視化(必須)
営業代行で失敗する企業は例外なく「役割範囲」が曖昧なまま依頼しています。
アポ定義、商談範囲、成果指標、レポート粒度、温度感の定義などを事前に合意しておけば、ほとんどのトラブルは回避できます。② KGI/KPIを“営業プロセス全体”で再設計する
アポ数だけでなく、MQL、SQL、商談化率、案件化率、受注率など、営業全体のKPIで評価することで、成果の本当の問題点が明確になります。
③ 営業プロセスのどこを外注すべきか設計する(勝てる構造を作る)
「テレアポだけ」「インサイドだけ」「商談だけ」など、外注すべき範囲を自社の弱点から逆算して決めることが重要です。
外注範囲の設計が曖昧なまま依頼すると、代行会社に過度な期待をし、結果として成果が出ません。失敗を防ぐための改善策(後半)
④ ターゲット定義の精度を上げる(最重要施策)
営業代行の成果は「誰に売るか」で8割決まります。
そのため、依頼企業が最初にやるべき改善はターゲット定義の精度向上です。とくに重要なのは以下の3点です。
- ●決裁者の特定(役職レベルまで)
- ●課題の構造化(顕在課題/潜在課題)
- ●導入タイミング(更新時期・繁忙期)
ターゲットが明確になるほど、リスト精度もスクリプトもアポ質も安定し、営業代行の成果は劇的に改善します。
⑤ リスト精度を改善する(NG条件/優先度/ホワイトリスト)
成果が出る営業代行企業は例外なく、リスト精度が高いです。
改善のポイントは次の3つです。- ●NG企業を排除する(既存/競合/合わない業界)
- ●優先度を付ける(A/B/Cランク)
- ●最重要ターゲット=ホワイトリストを定義
営業代行側は外部の人間であるため、リスト精度が成果に直結します。
ここを改善すると、アポ率・商談化率が大幅に向上します。⑥ 商材価値を“外部でも理解できる形”に整理する
商談代行の成果を決めるのは、営業力よりも商材理解の深さです。
そのため依頼企業は、以下を整理する必要があります。- ●顧客課題の深掘り
- ●価値提供(業務効率/コスト削減/売上向上)
- ●競合優位性
- ●導入プロセス
- ●過去事例・成功パターン
- ●ROI(費用対効果)
これらが明確だと、商談の質が安定し、外部営業でも成果が出せる「再現性のある営業」が構築されます。
⑦ 週次の改善MTGを型化する(成功企業の共通点)
営業代行で成功する企業は、例外なく「改善の仕組み」を持っています。
特に重要なのは週次MTGの型化です。成功企業のMTGの特徴:
- ●数値レビューが一定フォーマット
- ●商談フィードバックを毎週更新
- ●反応の良いトーク・悪いトークを共有
- ●リスト改善点を毎週アップデート
- ●次週の重点テーマを明文化
MTGを形式だけで終わらせず、「改善サイクル」を回す企業ほど成果が出ます。
⑧ アポ温度の定義を統一する(HOT/WARM/COLD)
営業代行において、温度定義がズレているケースは非常に多いです。
例:
- ●代行側は「WARM」と思っていた → 依頼側は「COLD」扱い
- ●依頼側は「HOT」と判断 → 実際はもっと深掘りが必要
このズレがあると商談フォローの優先順位が混乱し、売上機会を逃します。
温度定義は次のように統一するのが一般的です。
- HOT:明確な課題・導入意向あり。
- WARM:関心あり、情報収集中。
- COLD:情報収集・課題が浅い。
温度を統一することで、商談フォローが効率化され、成果が安定します。
⑨ 代行会社の強み・専門領域を評価表で可視化する
営業代行は会社ごとに「得意領域」があります。
そのため、選ぶ際には比較表の作成が有効です。評価項目例:
- ●得意業界
- ●得意フェーズ(テレアポ/インサイド/商談)
- ●過去実績の透明性
- ●改善頻度
- ●レポート品質
- ●契約の柔軟性
- ●担当者の経験値
比較表を作ることで、ミスマッチを避け、成果が出る代行会社を選べます。
⑩ 成果までのプロセスを可視化し、判断期間を誤らない
営業代行は中期戦です。短期で判断しようとすると失敗しやすくなります。
おすすめなのは成果プロセスの可視化です。例:
- ●1〜4週:アポ反応を分析、スクリプト改善
- ●4〜8週:ターゲットとリストの精度向上
- ●8〜12週:アポ温度が安定し始める
- ●12〜20週:商談の質が改善し、案件創出が始まる
これを可視化するだけで、「どの段階でどう評価すべきか」が明確になり、誤った判断で成果機会を逃すことがなくなります。
営業代行を成功させる企業の共通点
① 営業プロセスが言語化されている
営業代行で成果を出している企業は、例外なく営業プロセスが明文化されています。
営業フロー、商談ステップ、成功パターン、過去の失注理由などが整理されており、代行会社が迷うポイントがありません。反対に、プロセスが曖昧な企業は「属人的な営業」を外部に再現することができず、成果が安定しづらくなります。
② ターゲット・リスト精度が高い
成功企業は、ターゲット定義とリスト精度が圧倒的に高いです。
NG条件の明確化、ホワイトリストの定義、優先度の付け方など、営業効率が最大化されるよう整理されています。ターゲットとリストの精度は、外部営業における成果の7割を決めるとも言われています。
③ 商材価値を深く理解し、共有できている
商談代行の成果は「商材理解の深さ」に依存します。
成功企業は商材価値・ROI・導入効果を言語化し、代行会社にわかりやすく共有しています。外部営業でも商談の質が下がらず、提案の再現性が高くなります。
④ 改善スピードが速い(情報共有が迅速)
営業代行は“改善サイクルの速さ”が成果に直結します。
成功企業は商談内容・顧客反応・失注理由などのフィードバックが非常に速く、そのスピードが成果の差となって表れます。⑤ 営業代行を“外注”ではなく“チーム”として扱う
成果を出す企業ほど、営業代行を「外注パートナー」ではなく「チームの一部」として扱います。
レポートを読む、MTGに参加する、改善指示を出すなど、共同で成果を出す姿勢があります。反対に、丸投げ型の企業は成果が出にくい傾向にあります。
まとめ:営業代行を成功させるための本質
営業代行で失敗する理由は、ターゲットのズレ、リスト精度不足、KPI設計の誤り、商材理解の不足など、複数の要因が重なっています。
逆に言えば、これらを事前に設計し、改善サイクルを回すことで、営業代行は非常に高い成果を生むサービスになります。
営業代行とは「営業を丸投げするサービス」ではなく、「外部の専門家とともに営業を強化する仕組み」です。
本記事で解説したポイントを踏まえ、最適な営業代行の活用を実現していただければ幸いです。