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BPRの進め方を7ステップで解説|失敗事例と成功のポイントも紹介
2026年6月20日
BPR(Business Process Re-engineering)とは
企業を取り巻く環境は年々変化しています。人手不足の深刻化、デジタル化の加速、顧客ニーズの多様化など、これまでのやり方だけでは競争力を維持することが難しい時代になりました。
こうした状況の中で注目されているのが「BPR(Business Process Re-engineering)」です。
BPRは単なる業務改善ではありません。業務プロセスそのものを根本から見直し、企業全体の生産性や競争力を大幅に向上させるための経営手法です。
本章では、BPRの基本的な考え方や業務改善との違い、DXとの関係について解説します。
BPRの基本的な意味
BPRとは「Business Process Re-engineering」の略称で、日本語では「業務改革」や「業務プロセス再構築」と訳されます。
1990年代にアメリカの経営学者であるマイケル・ハマー氏によって提唱された考え方で、既存業務を部分的に改善するのではなく、業務全体をゼロベースで見直すことを目的としています。
例えば営業活動を改善したい場合、多くの企業は営業担当者のスキル向上や営業ツールの導入を検討します。
しかしBPRでは、
・そもそも営業プロセスは最適か
・担当者ごとの役割分担は適切か
・会議や報告業務は必要か
・商談化までの流れに無駄はないか
といった観点から業務全体を見直します。
つまり「今の業務をどう改善するか」ではなく、「理想の状態を実現するために業務をどう再設計するか」を考えるのがBPRです。
業務改善との違い
BPRと混同されやすい言葉に「業務改善」があります。
両者は似ているようで考え方が大きく異なります。
業務改善
業務改善は現在の業務プロセスを前提として効率化を図る取り組みです。
例えば、
・入力作業を簡略化する
・会議時間を短縮する
・帳票を見やすくする
といった改善が該当します。
既存業務を活かしながら少しずつ改善していく考え方です。
BPR
一方でBPRは既存業務を前提としません。
場合によっては、
・部署そのものを統合する
・業務フローを全面的に変更する
・人の作業をシステム化する
・役割分担を再定義する
といった大きな改革を実施します。
例えるなら、
業務改善は「古い家をリフォームすること」
BPRは「家を建て替えること」
に近いイメージです。
改善規模が大きいため難易度は上がりますが、その分大きな成果を期待できます。
DXとの違い
近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉も広く知られるようになりました。
BPRとDXは密接な関係がありますが、意味は異なります。
DXとは
DXとはデジタル技術を活用して企業の競争力を向上させる取り組みです。
具体的には、
・クラウドサービス導入
・AI活用
・データ分析
・ペーパーレス化
・自動化
などが含まれます。
BPRとDXの関係
DXを成功させるためには、まず業務プロセスの見直しが必要です。
例えば紙の申請書をそのまま電子化しただけでは、非効率な業務が残り続けます。
本来であれば、
紙申請
↓
承認
↓
押印
↓
保管という流れ自体を見直し、
オンライン申請
↓
電子承認
↓
自動保存という形に再設計するべきです。
この業務再設計こそがBPRです。
つまり、
BPR=業務改革
DX=デジタル技術による変革
という関係になります。
DXを成功させるためにはBPRが欠かせないと言われる理由もここにあります。
なぜ今BPRが求められているのか
近年、多くの企業がBPRに取り組む背景には大きく4つの理由があります。
人手不足の深刻化
少子高齢化により、多くの企業で人材確保が難しくなっています。
採用だけで解決する時代ではなく、限られた人員で成果を出す体制づくりが必要になっています。
業務の複雑化
企業規模の拡大とともに業務フローも複雑になります。
気づかないうちに不要な承認や報告業務が増え、生産性を低下させるケースも少なくありません。
DX推進の必要性
政府もDX推進を後押ししており、多くの企業がシステム導入を進めています。
しかし業務プロセスが整理されていなければ、システム導入の効果は限定的です。
そのためDXの前段階としてBPRが重要視されています。
市場競争の激化
競合他社との差別化が難しくなる中、業務効率そのものが競争力になります。
同じ人数でも高い成果を出せる企業は、市場で優位に立つことができます。
BPRは企業変革の出発点
BPRは単なる効率化施策ではありません。
企業全体の生産性や競争力を向上させるための経営改革そのものです。
また、DX推進や組織改革の土台となる取り組みでもあります。
「人手不足だから採用を増やす」
「売上が伸びないから営業を増員する」
という発想だけでは限界があります。
まずは業務プロセスそのものを見直し、本当に必要な業務と不要な業務を整理することが重要です。
次章では、企業がBPRに取り組むべき具体的な理由について詳しく解説します。
企業がBPRに取り組むべき5つの理由
BPRは単なる業務効率化の手法ではありません。
企業全体の競争力を高め、将来にわたって成長し続けるための経営戦略の一つです。
しかし実際には、
「今のやり方でも何とか回っている」
「大きな改革は手間がかかる」
「現場の反発が心配」
といった理由から、業務改革に踏み切れない企業も少なくありません。
一方で、市場環境が急速に変化する現在において、従来のやり方を維持し続けること自体が大きなリスクになっています。
ここでは企業がBPRに取り組むべき5つの理由を解説します。
人手不足に対応できる
多くの企業が抱える最大の課題の一つが人手不足です。
少子高齢化によって労働人口は減少し続けており、採用活動だけで人材不足を解消することは年々難しくなっています。
特に営業部門や管理部門では、
・営業担当者が足りない
・事務担当者が不足している
・管理職が現場業務を兼務している
といった状況が珍しくありません。
このような状況で単純に採用人数を増やそうとしても、人件費が増加するだけで根本的な解決にはつながらないケースがあります。
そこで重要になるのがBPRです。
例えば、
・二重入力の廃止
・不要な会議の削減
・承認フローの簡略化
・定型業務の自動化
などを実施することで、同じ人数でもより多くの成果を生み出せる組織へ変えることができます。
今後の人材市場を考えると、「人を増やす」よりも「少人数で成果を出せる仕組みを作る」ことが重要になります。
生産性を大幅に向上できる
多くの企業では、長年にわたって業務が積み重なった結果、さまざまな無駄が発生しています。
例えば営業部門では、
・毎日報告書を作成している
・会議が多い
・情報共有が属人的
・顧客情報が散在している
といった状況がよく見られます。
管理部門でも、
・紙とデータを二重管理している
・複数人で同じ確認をしている
・承認に数日かかる
などの非効率な業務が存在します。
こうした業務は一つひとつを見ると小さな問題に思えますが、積み重なると大きな工数になります。
BPRによって業務全体を見直すことで、
・作業時間の短縮
・意思決定の迅速化
・情報共有の効率化
・業務負荷の平準化
を実現できます。
結果として企業全体の生産性向上につながります。
属人化を解消できる
属人化は多くの企業で深刻な課題になっています。
特定の担当者しか業務内容を理解していない状態では、
・退職時に業務が止まる
・引き継ぎに時間がかかる
・品質にばらつきが出る
・教育コストが増える
といった問題が発生します。
営業部門では、
「○○さんしか商談できない」
「○○さんしか顧客情報を把握していない」
というケースも少なくありません。
管理部門でも、
「経理担当しか処理方法が分からない」
「総務担当しか申請手順を知らない」
という状況が発生しがちです。
BPRでは業務を可視化し、標準化することを重視します。
業務フローやルールを整理し、誰でも同じ品質で業務を遂行できる体制を構築することで、組織としての安定性が向上します。
コスト削減につながる
BPRは収益向上だけでなくコスト削減にも大きな効果があります。
企業のコストには、
・人件費
・システム費
・事務費
・管理費
などさまざまなものがあります。
業務プロセスを見直すことで、
・不要な業務の廃止
・作業時間の短縮
・システム統合
・外注費削減
などを実現できます。
例えば営業部門であれば、
営業担当者が事務作業に費やす時間を削減することで、より多くの時間を顧客対応に充てられるようになります。
管理部門では、
請求書処理や勤怠管理を自動化することで、大幅な工数削減が可能になります。
重要なのは単純なコストカットではなく、「付加価値を生まない業務を減らす」という考え方です。
その結果として利益率の向上が期待できます。
顧客満足度を向上できる
BPRは社内効率化だけが目的ではありません。
最終的には顧客への提供価値を高めることが重要です。
例えば、
・問い合わせ対応が遅い
・見積提出に時間がかかる
・担当者によって対応品質が違う
・納品ミスが発生する
といった問題は、顧客満足度を大きく低下させます。
これらの原因をたどると、多くの場合は業務プロセスに問題があります。
BPRによって業務を再設計すると、
・対応スピード向上
・品質の均一化
・ミス削減
・顧客対応力向上
が実現できます。
結果として顧客満足度が高まり、リピート率や紹介率の向上にもつながります。
BPRは企業成長の土台になる
企業がBPRに取り組むべき理由は単なる効率化ではありません。
・人手不足への対応
・生産性向上
・属人化解消
・コスト削減
・顧客満足度向上
これらを実現することで、企業の持続的な成長を支える仕組みを構築できるからです。
特に今後は、労働人口の減少や市場競争の激化により、「頑張る組織」よりも「仕組みで成果を出す組織」が強くなります。
その意味でBPRは、将来の企業競争力を左右する重要な経営課題といえるでしょう。
次章では、BPRがうまくいかない企業に共通する失敗パターンについて詳しく解説します。
BPRが失敗する企業に共通する10の特徴
BPRは大きな成果を期待できる一方で、失敗する企業も少なくありません。
実際、多くの企業ではシステム導入や組織改革に着手したものの、
「現場の反発で頓挫した」
「期待した成果が出なかった」
「むしろ業務が複雑になった」
といった状況に陥っています。
BPRは単なる業務改善ではなく、組織全体を巻き込む改革です。そのため、事前に失敗パターンを理解しておくことが重要です。
ここでは、BPRが失敗する企業に共通する10の特徴を解説します。
1. BPRの目的が曖昧になっている
最も多い失敗要因が「何のためにBPRを行うのか」が明確になっていないケースです。
例えば、
・DXを進めたいから
・他社がやっているから
・社長が言ったから
といった理由だけでプロジェクトが始まることがあります。
しかし目的が曖昧だと、
・何を改善すべきか分からない
・優先順位が決まらない
・成果測定ができない
という状態になります。
BPRを始める際は、
・営業利益を改善したい
・業務時間を20%削減したい
・受注率を向上させたい
など、具体的な経営課題から逆算することが重要です。
2. 現場の意見を聞かずに進めている
経営層や管理職だけで改革案を作るケースも失敗しやすい傾向があります。
実際に業務を行っているのは現場です。
現場を無視して設計すると、
・実務に合わないルールになる
・運用負荷が増える
・現場から反発を受ける
という問題が発生します。
特に営業部門では、
「現場を知らない人が作ったルール」
という認識が広がると、改革そのものが形骸化します。
BPRはトップダウンとボトムアップの両方が必要です。
現場の課題や改善案を積極的に取り入れることが成功の条件になります。
3. 経営層が本気で関与していない
BPRは現場レベルの改善活動ではありません。
組織全体を変える経営プロジェクトです。
そのため、
「担当部署に任せておけばよい」
という姿勢では成功しません。
例えば、
・部署間の利害対立
・権限移譲の問題
・予算確保
・人員配置変更
などは現場だけでは解決できません。
経営層が主体的に関与しなければ、改革は途中で止まってしまいます。
成功している企業ほど、経営トップがプロジェクトオーナーとして積極的に関与しています。
4. システム導入が目的になっている
DX推進の流れの中でよく見られる失敗です。
例えば、
・SFAを導入する
・CRMを導入する
・RPAを導入する
ということ自体が目的化してしまうケースがあります。
しかしシステムはあくまで手段です。
業務プロセスが整理されていない状態で導入すると、
・入力項目が増える
・運用が複雑になる
・利用率が低下する
といった問題が発生します。
まずBPRで業務を整理し、その後に最適なツールを選定する順番が重要です。
5. 現状分析が不十分
「何となく非効率だから改善したい」
という状態でプロジェクトを始める企業も少なくありません。
しかし、
・どこに無駄があるのか
・どこがボトルネックなのか
・どれだけ工数がかかっているのか
を把握していなければ、適切な改革はできません。
営業部門であれば、
・商談化率
・受注率
・案件停滞率
・営業工数
などを分析する必要があります。
管理部門でも、
・処理件数
・承認時間
・作業時間
などのデータを収集することが重要です。
現状把握が不十分なまま進めると、的外れな改善になってしまいます。
6. 部門最適になっている
BPRでよく起こる問題が「部分最適」です。
例えば営業部門だけを効率化すると、
営業は楽になるものの、
・事務負担が増える
・経理業務が複雑になる
・情報共有が不足する
といった問題が発生することがあります。
企業全体で見ると改善どころか悪化しているケースもあります。
BPRでは必ず業務の前後工程まで含めて考える必要があります。
全社最適の視点を持つことが重要です。
7. KPIが設定されていない
成果指標が曖昧なプロジェクトは失敗しやすくなります。
例えば、
「業務を効率化する」
だけでは成功か失敗か判断できません。
そこで、
・作業時間30%削減
・受注率10%向上
・承認期間50%短縮
などの数値目標を設定する必要があります。
KPIがあることで、
・進捗確認
・成果測定
・改善判断
ができるようになります。
8. 教育と定着支援が不足している
新しい業務プロセスを導入しても、社員が理解していなければ定着しません。
特に長年同じやり方で仕事をしてきた社員ほど変化を嫌う傾向があります。
そのため、
・説明会
・研修
・マニュアル整備
・フォロー体制
が欠かせません。
改革後の運用支援まで含めて計画することが重要です。
9. 短期間で成果を求めすぎる
BPRは大規模な改革です。
数週間や1か月で劇的な成果が出るものではありません。
業務分析から定着まで考えると、
半年から1年以上かかることも珍しくありません。
短期成果ばかり求めると、
・現場が疲弊する
・改革が中途半端になる
・本質的な改善ができない
という状況になります。
中長期視点で取り組むことが必要です。
10. 改革後の運用設計がない
BPRが完了した時点で満足してしまう企業もあります。
しかし本当に重要なのは運用開始後です。
どれほど優れた業務フローでも、
・運用ルールが曖昧
・管理者が不在
・定期レビューがない
という状態では元に戻ってしまいます。
BPRは一度実施して終わりではなく、継続的な改善活動として運用する必要があります。
BPRの失敗は準備不足から始まる
BPRに失敗する企業には共通点があります。
・目的が曖昧
・現場を巻き込まない
・経営層が関与しない
・システム導入が目的化している
・現状分析が不足している
・部門最適になっている
・KPIがない
・教育不足
・短期成果を求める
・運用設計がないこれらの多くは、実は改革そのものではなく「準備不足」に起因しています。
成功する企業は、改革に着手する前に入念な準備を行っています。
次章では、BPRを成功させるために事前に整理しておくべき準備事項について詳しく解説します。
BPRを進める前に整理すべき準備事項
BPRの成否は、実際の改革作業よりも「準備段階」でほぼ決まると言っても過言ではありません。
多くの企業では、
「とりあえず業務を見直そう」
「まずはシステムを導入しよう」
という形でスタートしてしまいます。
しかし、準備不足のまま進めると、
・改革の方向性が定まらない
・現場から反発が起こる
・途中で優先順位が変わる
・期待した成果が出ない
といった問題が発生します。
BPRは組織全体に影響を与えるプロジェクトだからこそ、事前準備が極めて重要です。
ここでは、BPRを成功に導くために整理しておくべき5つの準備事項を解説します。
経営課題を明確にする
最初に行うべきことは、BPRによって解決したい経営課題を明確にすることです。
BPRはあくまでも課題解決の手段です。
目的が曖昧なまま進めると、改革そのものが目的化してしまいます。
例えば、
・売上が伸び悩んでいる
・営業利益率が低い
・人員不足が深刻化している
・業務負荷が偏っている
・顧客対応スピードが遅い
といった課題がある場合、その原因を掘り下げる必要があります。
営業部門を例にすると、
「売上が伸びない」
という課題の背景には、
・商談数不足
・案件管理不足
・営業担当者の属人化
・フォロー漏れ
などさまざまな要因が存在します。
管理部門でも、
「残業が多い」
という問題の背景に、
・承認フローの複雑化
・手作業の多さ
・業務分担の偏り
が隠れていることがあります。
まずは経営課題を整理し、
「何を改善するためのBPRなのか」
を明確にしましょう。
対象業務を選定する
次に重要なのが、改革対象となる業務を決めることです。
BPRは全社的な改革を目指すものですが、最初からすべての業務を対象にすると失敗する可能性が高まります。
なぜなら、
・関係者が増える
・調整コストが増える
・プロジェクトが長期化する
・現場の負担が大きくなる
からです。
そこでまずは優先順位を決める必要があります。
一般的には、
・工数が大きい業務
・属人化している業務
・顧客満足度に影響する業務
・ミスが発生しやすい業務
などから着手するケースが多くなります。
例えば営業部門なら、
・リード管理
・商談管理
・営業報告
・見積作成
などが候補になります。
管理部門であれば、
・請求処理
・勤怠管理
・経費精算
・承認フロー
などが対象になるでしょう。
「最も改善効果が大きい業務は何か」
という視点で選定することが重要です。
プロジェクトチームを編成する
BPRは一部の担当者だけで進めるものではありません。
実際に業務を行う現場社員、管理職、経営層が協力して進める必要があります。
そのためには適切なプロジェクトチームを構築しなければなりません。
理想的なチーム構成としては、
・経営責任者
・部門責任者
・現場担当者
・システム担当者
・管理部門担当者
などが含まれます。
現場担当者を入れることは特に重要です。
現場を知らないまま設計された改革は、実務とのズレが生じやすくなります。
また、現場メンバーが参加することで、
「やらされる改革」
ではなく、
「自分たちで作る改革」
という意識が生まれます。
これが定着率を高める大きな要因になります。
KPIを設定する
BPRを進める際には、必ず数値目標を設定しましょう。
目標が曖昧なままでは、
・成果が見えない
・改善効果が分からない
・プロジェクト評価ができない
という状態になります。
例えば営業部門であれば、
・商談化率
・受注率
・営業工数
・顧客対応時間
などが指標になります。
管理部門なら、
・処理時間
・承認期間
・残業時間
・ミス件数
などが考えられます。
例えば、
・営業報告作成時間を50%削減する
・見積作成時間を30%短縮する
・承認期間を5日から2日にする
といった具体的な目標を設定することで、プロジェクトの方向性が明確になります。
また、改革後の効果測定もしやすくなります。
現場への説明と合意形成を行う
BPRで最も軽視されやすいのが現場への説明です。
しかし実際には、この工程が成功のカギを握ります。
なぜなら、BPRは現場の仕事を変える取り組みだからです。
現場からすると、
・仕事が増えるのではないか
・評価に影響するのではないか
・自分の役割がなくなるのではないか
といった不安を抱きます。
説明不足のまま進めると、
・協力を得られない
・反発が起こる
・形だけの運用になる
という状況になりやすくなります。
そのため、
・なぜ改革が必要なのか
・何を目指しているのか
・現場にどんなメリットがあるのか
を丁寧に説明することが重要です。
特に管理職は、単なる伝達役ではなく改革の推進役として機能する必要があります。
準備段階で成功確率は大きく変わる
BPRというと、業務フロー作成やシステム導入などの実行フェーズに注目が集まりがちです。
しかし実際には、
・経営課題の整理
・対象業務の選定
・プロジェクトチーム編成
・KPI設定
・現場との合意形成
といった準備段階が成功を左右します。
この準備を丁寧に行うことで、改革の方向性が明確になり、現場の協力も得やすくなります。
逆に準備を省略すると、どれだけ優れた施策を実施しても期待した成果は得られません。
次章では、いよいよBPRを成功させるための具体的な7つのプロセスについて詳しく解説します。
BPRを成功させる7つのプロセス
BPRは思いつきで進めても成功しません。
業務プロセス全体を見直し、組織に定着させるためには、一定の手順に沿って進める必要があります。
実際に成果を上げている企業を見ると、業種や規模は違っても進め方には共通点があります。
いきなりシステムを導入したり、現場に改革を押し付けたりするのではなく、
・現状を把握する
・課題を特定する
・理想像を描く
・施策を実行する
・継続的に改善するという流れを踏んでいます。
ここではBPRを成功させるための7つのプロセスを解説します。
STEP1 現状業務を可視化する
BPRの出発点は現状把握です。
まずは現在どのような業務が行われているのかを正確に可視化します。
多くの企業では、
「業務内容は把握しているつもり」
になっています。
しかし実際に業務フローを書き出してみると、
・誰が担当しているか分からない
・重複業務が存在する
・不要な承認がある
・業務の流れが属人的
といった問題が見つかることが少なくありません。
例えば営業部門の場合、
リード獲得
↓
架電
↓
商談設定
↓
提案
↓
受注という単純な流れに見えても、
その裏側では、
・顧客情報入力
・営業会議
・報告業務
・見積作成
・フォロー管理など多くの業務が存在しています。
これらを業務フロー図や業務一覧として整理することで、改善の土台ができます。
業務棚卸しを実施する
可視化の際には、業務棚卸しを行います。
具体的には、
・どの業務があるか
・誰が担当しているか
・どれくらい時間がかかるか
・どの頻度で行うかを整理します。
業務棚卸しが甘いと、その後の分析精度も低下します。
STEP2 問題点を洗い出す
現状が見えたら次は課題分析です。
ここでは業務プロセスの中に潜んでいる問題を洗い出します。
よくある問題としては、
・二重入力
・承認待ち
・情報共有不足
・属人化
・手作業の多さ
・確認作業の重複などがあります。
営業部門では、
・案件管理が個人任せ
・報告業務に時間がかかる
・フォロー漏れが発生するといった問題が典型例です。
管理部門では、
・紙運用
・Excel管理
・複雑な承認フローが課題になることが多いでしょう。
ボトルネックを特定する
特に重要なのがボトルネックの発見です。
業務全体のスピードを遅くしている箇所を見つけることで、大きな改善効果を得られます。
例えば、
営業担当者が見積作成に毎日2時間使っている場合、
見積作成業務を効率化するだけで大幅な生産性向上が期待できます。
STEP3 理想の業務プロセスを設計する
現状分析と課題分析が終わったら、次は理想の業務フローを設計します。
これを「To-Be設計」と呼びます。
ここで重要なのは、
「今の業務をどう改善するか」
ではなく、
「理想の状態ならどうあるべきか」
を考えることです。
例えば営業部門なら、
・営業報告は自動入力
・顧客情報は一元管理
・案件状況はリアルタイム共有といった理想像を描きます。
管理部門であれば、
・申請はオンライン
・承認はスマホ対応
・書類保管はクラウド化などが考えられます。
現状に縛られず、ゼロベースで考えることがBPRの本質です。
STEP4 改革施策を決定する
理想像が決まったら、それを実現するための施策を検討します。
主な施策は次の4つに分類できます。
廃止する
最も効果が高いのは不要業務の廃止です。
例えば、
・意味のない会議
・誰も見ていない報告書
・重複管理などを削減します。
標準化する
属人化している業務を標準化します。
例えば、
・営業トーク
・提案書作成
・顧客対応などをルール化します。
集約する
複数部署で行っている業務を統合します。
管理コストを削減できる場合があります。
自動化する
システムやツールを活用し、人の手を減らします。
近年はAIやRPAの活用も進んでいます。
STEP5 システムやツールを整備する
業務フローが決まったら、それを支える仕組みを整備します。
ここで初めてシステム導入を検討します。
順番が逆になる企業が多いですが、
正しい流れは
業務設計
↓
ツール選定です。
主な導入候補としては、
SFA
営業活動管理ツール
CRM
顧客管理ツール
ERP
基幹業務システム
RPA
定型業務自動化ツール
ワークフローシステム
承認業務効率化ツール
などがあります。
重要なのは高機能なツールを選ぶことではなく、自社の業務プロセスに合ったツールを選ぶことです。
STEP6 試験運用を行う
設計した業務をいきなり全社導入するのは危険です。
まずは小規模な範囲で試験運用を行います。
これをパイロット運用と呼びます。
例えば、
・営業1チームだけで導入
・特定部署のみ導入
・一部業務だけ変更といった形です。
試験運用によって、
・想定外の問題
・現場の不満
・システムの不具合を発見できます。
多くの成功企業は、この段階に十分な時間をかけています。
STEP7 効果測定と改善を継続する
BPRは導入して終わりではありません。
むしろ本番はここからです。
導入後には、
・KPI達成状況
・現場の運用状況
・顧客への影響
・収益への影響を継続的に確認します。
例えば、
・営業工数は削減されたか
・受注率は向上したか
・処理時間は短縮されたかを測定します。
成果が出ていない場合は再度改善を行います。
PDCAを回し続ける
BPRは一度完成するものではありません。
市場環境や顧客ニーズは常に変化しています。
そのため、
Plan(計画)
↓
Do(実行)
↓
Check(評価)
↓
Action(改善)を繰り返しながら最適化を続ける必要があります。
BPR成功のカギは「現状分析」と「定着化」
BPRを成功させる企業は、特別なことをしているわけではありません。
以下の7つのステップを着実に実行しています。
・STEP1 現状業務を可視化する
・STEP2 問題点を洗い出す
・STEP3 理想の業務プロセスを設計する
・STEP4 改革施策を決定する
・STEP5 システムやツールを整備する
・STEP6 試験運用を行う
・STEP7 効果測定と改善を継続する特に重要なのは、システム導入より前に業務設計を行うこと、そして導入後の定着化まで責任を持つことです。
次章では、実際に成果を上げている企業を参考にしながら、営業部門におけるBPRの具体例を紹介します。
営業部門におけるBPRの具体例
BPRという言葉を聞くと、経理や総務などの管理部門をイメージする方も少なくありません。
しかし実際には、BPRによる効果が最も大きく現れやすい部門の一つが営業部門です。
営業活動には、
・リード獲得
・アポイント獲得
・商談
・提案
・受注
・顧客フォローなど多くのプロセスが存在します。
また、営業担当者ごとのやり方に依存しやすく、属人化も起こりやすい特徴があります。
そのため、営業プロセス全体を見直すことで大幅な生産性向上や売上向上を実現できる可能性があります。
ここでは営業部門でよく行われるBPRの具体例を紹介します。
営業活動の属人化を解消する
営業部門で最も多い課題の一つが属人化です。
例えば、
・トップ営業しか受注できない
・顧客情報が個人管理になっている
・担当者ごとに営業手法が異なる
・引き継ぎができない
といった状況です。
この状態では優秀な営業担当者が退職した場合、大きな損失が発生します。
また、組織全体として営業力を高めることも難しくなります。
BPRでは営業プロセスを標準化し、
・顧客情報管理ルールの統一
・商談プロセスの共通化
・提案資料の標準化
・営業ナレッジの共有
を進めます。
営業担当者の経験や勘だけに頼るのではなく、組織として成果を出せる仕組みを作ることが重要です。
商談管理を標準化する
営業担当者によって案件管理方法が異なる企業は少なくありません。
ある担当者はExcelで管理し、別の担当者は手帳で管理しているというケースもあります。
その結果、
・案件状況が見えない
・フォロー漏れが発生する
・売上予測が不正確になる
・マネジメントができない
といった問題が起こります。
BPRでは商談管理ルールを統一し、
・案件ステータス
・次回アクション
・受注確度
・予定受注時期
などを共通管理できる仕組みを構築します。
これにより営業マネージャーは案件状況をリアルタイムで把握できるようになります。
また、売上予測の精度向上にもつながります。
営業パイプラインを可視化する
営業組織では「結果」だけを見ている企業が少なくありません。
例えば、
・今月の売上
・受注件数
・契約数
だけを追いかけるケースです。
しかし売上は結果指標です。
本来はその前段階となる営業プロセスを管理する必要があります。
例えば、
リード数
↓
アポイント数
↓
商談数
↓
提案数
↓
受注数という営業パイプラインを可視化することで、
どこに課題があるのかを明確にできます。
例えば、
・アポは取れているが商談化しない
・商談は多いが提案に進まない
・提案は多いが受注率が低い
などの問題を発見できます。
これは営業部門におけるBPRの代表的な取り組みの一つです。
営業報告業務を削減する
営業担当者の生産性を下げる要因として、過剰な報告業務があります。
例えば、
・日報作成
・週報作成
・営業会議資料作成
・案件報告
などに毎日多くの時間を使っているケースがあります。
営業担当者にとって最も価値を生む活動は顧客との接触です。
しかし報告業務が増えるほど、本来の営業活動時間が減少します。
BPRでは、
・入力項目の削減
・SFAとの連携
・自動レポート化
・会議時間短縮
などを実施します。
その結果、営業担当者はより多くの時間を顧客対応に使えるようになります。
営業会議を効率化する
営業会議も見直し対象になりやすい業務です。
多くの企業では、
・毎週定例会議を実施している
・報告中心になっている
・参加人数が多い
・結論が出ない
といった問題があります。
例えば2時間の会議に10名が参加した場合、
実質20時間分の工数を消費しています。
もし成果につながらない会議であれば、大きな損失です。
BPRでは、
・会議目的の明確化
・報告の事前共有
・参加者の最適化
・会議時間短縮
などを行います。
会議そのものを減らすことも重要な改革施策の一つです。
インサイドセールスを導入する
営業プロセスの分業化も代表的なBPR施策です。
従来の営業組織では、
一人の営業担当者が
・新規開拓
・アポイント取得
・商談
・提案
・受注
・顧客フォローをすべて担当していました。
しかし近年では、
・インサイドセールス
・フィールドセールス
・カスタマーサクセスに分業する企業が増えています。
例えば、
インサイドセールスがアポイント獲得まで担当し、
フィールドセールスが商談や受注に集中することで、生産性が向上します。
これは営業プロセスそのものを再設計する典型的なBPRの考え方です。
データ活用型の営業組織へ転換する
近年の営業BPRでは、データ活用も重要なテーマになっています。
以前は営業担当者の経験や感覚に頼る場面が多くありました。
しかし現在では、
・商談化率
・受注率
・案件停滞率
・顧客接触回数
などを可視化し、データに基づいて改善を進める企業が増えています。
例えば、
「受注率が高い業界はどこか」
「アポから受注まで何回接触しているか」
「失注案件に共通点はあるか」
を分析することで、営業活動の精度を高めることができます。
データを活用した営業プロセスの最適化も、重要なBPR施策の一つです。
営業BPRは売上向上と生産性向上を両立できる
営業部門におけるBPRは単なる効率化ではありません。
・属人化解消
・商談管理標準化
・パイプライン管理
・報告業務削減
・会議効率化
・分業体制構築
・データ活用などを通じて、売上向上と生産性向上の両方を実現できます。
特に人手不足が深刻化する現在では、「営業担当者を増やす」だけでは限界があります。
限られた人数で成果を最大化するためには、営業プロセスそのものを見直すことが重要です。
次章では、経理・総務・人事などの管理部門におけるBPRの具体例について解説します。
管理部門におけるBPRの具体例
営業部門と並んでBPRの効果が現れやすいのが管理部門です。
経理、人事、総務、労務などの管理部門は企業運営を支える重要な存在ですが、直接売上を生み出す部門ではありません。
そのため、
「昔からのやり方が残っている」
「紙文化が根強い」
「担当者しか分からない業務が多い」
といった状況になりやすい特徴があります。
また、日常業務がルーティン化しているため、非効率な業務が長年放置されているケースも少なくありません。
BPRによって管理部門の業務を見直すことで、生産性向上やコスト削減だけでなく、社員全体の働きやすさ向上にもつながります。
ここでは管理部門でよく行われるBPRの具体例を紹介します。
経理業務を効率化する
管理部門の中でもBPRの対象になりやすいのが経理業務です。
経理部門では、
・請求書発行
・入金確認
・支払処理
・仕訳入力
・月次決算
など多くの業務が発生します。
特に中小企業では、
Excelと紙を中心に管理しているケースも珍しくありません。
その結果、
・入力ミス
・確認作業の増加
・処理遅延
・担当者への依存
といった問題が発生します。
BPRではまず業務フローを整理し、
・重複作業の廃止
・会計システムとの連携
・電子データ活用
・自動仕訳
などを進めます。
例えば請求書発行業務を自動化するだけでも、毎月数十時間単位の工数削減につながることがあります。
請求書処理を電子化する
請求書管理は多くの企業で改善余地が大きい業務です。
従来は、
請求書受領
↓
紙で保管
↓
承認
↓
支払処理という流れが一般的でした。
しかしこの方法では、
・保管スペースが必要
・検索に時間がかかる
・紛失リスクがある
・テレワーク対応が難しい
という課題があります。
BPRでは請求書処理を電子化し、
・電子受領
・クラウド保存
・オンライン承認
・自動支払連携
を実現します。
これにより業務スピードが向上し、管理負担も大幅に軽減できます。
人事業務を標準化する
人事部門も属人化しやすい部門の一つです。
例えば、
・採用管理
・入退社手続き
・評価制度運用
・人材情報管理
などは担当者の経験に依存しやすい業務です。
担当者ごとにやり方が異なると、
・対応品質にばらつきが出る
・引き継ぎが難しい
・ミスが発生する
という問題が起こります。
そこでBPRでは、
・業務フローの統一
・マニュアル整備
・システム活用
を進めます。
誰が担当しても同じ品質で業務を実施できる体制を構築することが重要です。
勤怠管理を自動化する
勤怠管理もBPR効果が高い業務です。
特に紙やExcelで管理している企業では、
・集計作業
・確認作業
・修正対応
に多くの時間を費やしています。
例えば月末になると、
・残業時間確認
・有給管理
・勤務時間集計
などに数日かかるケースもあります。
勤怠管理システムを導入し、
・打刻自動集計
・残業時間管理
・有給残日数管理
を実現することで、大幅な効率化が可能になります。
また、労務リスクの低減にもつながります。
承認フローを見直す
多くの企業では承認業務がボトルネックになっています。
例えば、
申請
↓
課長承認
↓
部長承認
↓
役員承認
↓
処理完了という流れがあり、数日から数週間かかることもあります。
承認が滞ると、
・業務が進まない
・社員のストレスが増える
・顧客対応が遅れる
などの問題が発生します。
BPRでは、
・承認段階の削減
・承認権限の見直し
・電子ワークフロー化
などを実施します。
例えば10万円以下の経費は課長承認のみとするだけでも、大幅なスピードアップが可能です。
ペーパーレス化を推進する
管理部門では紙文化が根強く残っている企業も少なくありません。
例えば、
・申請書
・契約書
・請求書
・稟議書
などが紙で管理されているケースがあります。
紙運用には、
・印刷コスト
・保管コスト
・郵送コスト
・検索時間
が発生します。
さらにテレワークとの相性もよくありません。
BPRでは、
・電子契約
・クラウド保管
・電子申請
・電子承認
を推進します。
これにより業務効率だけでなく、柔軟な働き方への対応も可能になります。
情報共有の仕組みを整備する
管理部門では情報共有不足も大きな課題です。
例えば、
・マニュアルが存在しない
・担当者しか分からない
・過去資料が見つからない
といった状況があります。
その結果、
・同じ質問が繰り返される
・教育コストが増える
・業務品質が安定しない
という問題が発生します。
BPRでは、
・ナレッジ共有
・業務マニュアル整備
・クラウド管理
などを進めます。
情報を個人ではなく組織で管理することが重要です。
管理部門BPRは企業全体の生産性向上につながる
管理部門の業務は直接売上を生み出しません。
しかし管理部門の効率化は、企業全体の生産性向上に大きな影響を与えます。
例えば、
・経理処理が早くなる
・承認が迅速になる
・人事業務が効率化される
・情報共有がスムーズになる
ことで、営業部門や現場部門も本来の業務に集中できるようになります。
その結果として企業全体の競争力向上につながります。
BPRを検討する際は営業部門だけでなく、管理部門も含めた全社最適の視点を持つことが重要です。
次章では、BPRを進める際に活用できる代表的なフレームワークについて解説します。
BPRで活用される代表的なフレームワーク
BPRを成功させるためには、単に「業務を見直そう」という感覚的な取り組みでは不十分です。
業務プロセスを客観的に分析し、改善ポイントを明確にするためには、さまざまなフレームワークを活用することが重要です。
フレームワークを利用することで、
・現状を整理しやすくなる
・課題を見つけやすくなる
・改善案を検討しやすくなる
・関係者間で共通認識を持ちやすくなる
といったメリットがあります。
ここではBPRでよく活用される代表的なフレームワークを紹介します。
業務フロー図
BPRで最も基本となるのが業務フロー図です。
業務フロー図とは、業務の流れを図式化したものです。
例えば営業活動であれば、
リード獲得
↓
アポイント取得
↓
商談
↓
提案
↓
受注という流れを可視化します。
管理部門であれば、
申請
↓
承認
↓
処理
↓
保管といった業務の流れを整理します。
業務フロー図を作成すると、
・どこで業務が滞っているか
・誰が担当しているか
・不要な工程はないか
・重複作業はないか
を把握しやすくなります。
BPRの第一歩は業務を見える化することです。
そのため業務フロー図はほぼすべてのBPRプロジェクトで活用されます。
ECRS(イクルス)
ECRSは業務改善で非常によく利用されるフレームワークです。
次の4つの観点から業務を見直します。
・Eliminate(排除)
・Combine(結合)
・Rearrange(再配置)
・Simplify(簡素化)Eliminate(排除)
最初に考えるべきは、
「その業務は本当に必要か」
という視点です。
例えば、
・誰も読んでいない報告書
・形だけの会議
・意味のない確認作業
などは廃止できる可能性があります。
Combine(結合)
複数の業務をまとめられないか検討します。
例えば、
・複数の会議を統合する
・複数の入力作業を一度で済ませる
といった改善が考えられます。
Rearrange(再配置)
業務の順番を変えることで効率化できる場合があります。
承認プロセスや情報共有フローなどで効果を発揮します。
Simplify(簡素化)
業務そのものを簡単にする考え方です。
入力項目削減や手順短縮などが代表例です。
BPRでは非常に実践的なフレームワークとして活用されています。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、自社の活動を価値創出の観点から分析するフレームワークです。
企業活動を、
・営業
・マーケティング
・製造
・物流
・顧客サポートなどに分解し、
どこで価値が生まれているのかを確認します。
BPRでは、
「顧客価値に直接関係する業務」
と
「付加価値を生まない業務」
を区別するために活用されます。
例えば営業部門であれば、
顧客との商談は価値を生みます。
一方で、
社内向け報告書作成は価値創出への貢献が限定的です。
この視点を持つことで、削減すべき業務を明確にできます。
3C分析
3C分析はマーケティングで有名なフレームワークですが、BPRでも活用できます。
3Cとは、
・Customer(顧客)
・Competitor(競合)
・Company(自社)の頭文字です。
BPRでは、
「顧客が求めていること」
を中心に業務プロセスを見直す際に役立ちます。
例えば、
・顧客は迅速な対応を求めている
・競合は即日見積を実現している
・自社は見積提出に3日かかる
という状況なら、見積プロセスの改革が必要になります。
社内都合ではなく顧客視点で業務を再設計できる点が特徴です。
SWOT分析
SWOT分析もBPRで活用できるフレームワークです。
以下の4つの要素から現状を分析します。
・Strength(強み)
・Weakness(弱み)
・Opportunity(機会)
・Threat(脅威)例えば営業部門なら、
強み
・営業力が高い弱み
・案件管理が属人的機会
・市場拡大脅威
・競合増加といった整理ができます。
BPRでは、
どの業務を強化し、
どの業務を改善すべきか
を判断する材料として活用されます。
BPM(Business Process Management)
BPMは業務プロセスを継続的に管理・改善する考え方です。
BPRとの違いは、
BPR
=抜本的改革BPM
=継続的改善という点です。
BPRで新しい業務プロセスを設計した後、
その状態を維持しながら改善していく際に活用されます。
具体的には、
・業務プロセスの可視化
・KPI管理
・改善活動
を継続的に実施します。
BPRを一度きりの改革で終わらせないためにも重要な考え方です。
KPIツリー
近年はKPIツリーを活用する企業も増えています。
KPIツリーとは、
最終目標を達成するために必要な指標を階層構造で整理する手法です。
例えば売上向上を目指す場合、
売上
↓
受注数
↓
提案数
↓
商談数
↓
アポイント数という形で分解できます。
営業部門のBPRでは特に有効なフレームワークです。
どのプロセスを改善すべきかを明確にできます。
フレームワークは課題発見のための道具
BPRにおいてフレームワークは目的ではありません。
あくまで課題を発見し、改善策を考えるための道具です。
特に活用頻度が高いのは、
・業務フロー図
・ECRS
・バリューチェーン分析
・3C分析
・SWOT分析
・BPM
・KPIツリーです。
これらを組み合わせることで、
現状把握
↓
課題発見
↓
改善設計
↓
効果測定というBPRの流れをよりスムーズに進めることができます。
次章では、実際にBPRを成功へ導くための5つの重要なポイントについて解説します。
BPRを成功に導く5つのポイント
ここまでBPRの進め方や具体例、活用できるフレームワークについて解説してきました。
しかし、同じような手順で取り組んでも成功する企業と失敗する企業があります。
その違いは何でしょうか。
実はBPRの成功は、ツールやシステムの性能ではなく「プロジェクトの進め方」に大きく左右されます。
どれだけ優れた業務設計を行っても、組織に定着しなければ成果は生まれません。
ここではBPRを成功に導くために押さえておきたい5つのポイントを解説します。
経営層が主体的に関与する
BPRを成功させる企業に共通しているのが、経営層の強いコミットメントです。
BPRは単なる業務改善ではなく、組織のあり方そのものを見直す取り組みです。
そのため、
・部署間の調整
・予算確保
・権限変更
・組織変更
などが発生することがあります。
こうした課題は現場だけでは解決できません。
例えば営業部門と管理部門の間で意見が対立した場合、最終的な判断を下せるのは経営層です。
また、現場社員は経営陣の姿勢を見ています。
社長や役員が本気で取り組んでいることが伝われば、現場の協力も得やすくなります。
逆に、
「担当部署に任せているだけ」
という状態では、改革の優先順位が下がり、途中で頓挫する可能性が高くなります。
BPRは経営プロジェクトであるという認識を持つことが重要です。
現場を巻き込みながら進める
BPRで最も多い失敗パターンの一つが、現場を置き去りにしてしまうことです。
管理職や経営陣だけで改革案を作ると、
・実務に合わない
・運用負荷が増える
・現場が納得しない
という問題が発生します。
実際に業務を行っているのは現場社員です。
現場には、
・どこに無駄があるのか
・何が不便なのか
・どこが改善できそうか
という貴重な情報があります。
そのため、
・ヒアリング
・アンケート
・ワークショップ
・試験運用
などを通じて現場の意見を取り入れることが重要です。
また、現場が改革に参加することで当事者意識が生まれます。
これは改革の定着率向上にも大きく影響します。
小さく始めて成功体験を作る
BPRというと全社改革をイメージしがちですが、最初から大規模に進めるのは危険です。
対象範囲が広すぎると、
・調整が複雑になる
・現場負担が増える
・失敗時の影響が大きい
という問題が発生します。
そのため、
まずは一部部署や一部業務から始めることをおすすめします。
例えば、
・営業報告業務だけ見直す
・請求書処理だけ電子化する
・承認フローだけ改善する
といった小規模な改革です。
小さな成功を積み重ねることで、
・現場の理解が進む
・改革への抵抗感が減る
・改善ノウハウが蓄積される
という効果があります。
結果として、より大きな改革にも取り組みやすくなります。
データに基づいて判断する
BPRでは感覚や経験だけに頼らないことが重要です。
例えば、
「この業務は無駄だと思う」
「この会議は必要ない気がする」
という判断だけでは現場の納得を得られません。
そこで重要になるのがデータです。
例えば営業部門なら、
・商談化率
・受注率
・営業工数
・顧客接触回数
などを分析します。
管理部門なら、
・処理件数
・承認時間
・残業時間
・ミス発生件数
などが参考になります。
データを活用することで、
・改善優先順位
・投資対効果
・改革成果
を客観的に判断できます。
また、改革後の効果測定もしやすくなります。
継続改善を前提にする
BPRは一度実施して終わりではありません。
市場環境や顧客ニーズは常に変化しています。
現在は最適な業務プロセスでも、数年後には非効率になる可能性があります。
例えば、
・新しいツールの登場
・法改正
・組織変更
・働き方の変化
などによって最適解は変わります。
そのため、
「改革が完了したから終了」
ではなく、
「継続的に改善する」
という考え方が必要です。
具体的には、
・定期レビュー
・KPI確認
・現場ヒアリング
・改善提案制度
などを運用します。
BPRの成果を長期間維持するためには、改善を習慣化することが重要です。
BPR成功企業は仕組みづくりを重視している
BPRを成功させる企業には共通点があります。
それは、
・経営層が関与する
・現場を巻き込む
・小さく始める
・データで判断する
・継続改善を行う
という姿勢です。
逆に失敗する企業は、
・システム導入だけで満足する
・現場に丸投げする
・短期成果だけを求める
傾向があります。
BPRの本質は業務改善ではなく、成果を出し続ける仕組みを作ることです。
この視点を持ちながら進めることで、企業全体の生産性向上や競争力強化につなげることができます。
次章では、BPRについてよくある質問と回答をまとめて解説します。
BPR推進時によくある質問
BPRに興味を持っていても、
「自社でも本当にできるのだろうか」
「どれくらいの効果が出るのだろうか」
と疑問を持つ担当者は少なくありません。
ここではBPRを検討している企業からよく寄せられる質問について解説します。
BPRとDXはどちらを先に進めるべきですか?
結論からいうと、BPRを先に進めることをおすすめします。
DXはデジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革する取り組みです。
一方でBPRは業務プロセスそのものを見直す活動です。
例えば、
紙の申請書
↓
電子申請書に置き換えただけではDXは実現できても、本質的な効率化につながらないことがあります。
本来であれば、
・承認フローは適切か
・入力項目は必要か
・そもそも申請が必要か
という部分から見直すべきです。
つまり、
BPR
↓
DXの順番で進めることで、システム導入効果を最大化できます。
中小企業でもBPRは実施できますか?
もちろん可能です。
むしろ中小企業の方が効果を実感しやすいケースもあります。
大企業の場合、
・関係者が多い
・承認プロセスが複雑
・組織変更が難しい
という課題があります。
一方で中小企業は意思決定が早いため、
・営業プロセス見直し
・請求業務効率化
・承認フロー簡素化
などをスピーディーに進められます。
実際には、
「社員20名程度の会社が営業管理を標準化した」
「社員50名程度の会社が請求処理を自動化した」
という事例も珍しくありません。
企業規模に関係なく実施できるのがBPRの特徴です。
BPRにはどれくらいの期間が必要ですか?
対象範囲によって大きく異なります。
一般的な目安としては、
・小規模な業務改善:1~3か月
・部門単位のBPR:3~6か月
・全社的なBPR:6か月~2年
程度です。
ただし重要なのは、
「どれだけ早く終わるか」
ではなく、
「どれだけ定着するか」
です。
急ぎ過ぎると、
・現場が混乱する
・運用が定着しない
・成果が出ない
という問題が発生します。
特に組織文化や業務習慣を変える場合は、中長期的な視点で進めることが大切です。
BPRにはどれくらいの費用がかかりますか?
費用は取り組み内容によって大きく変わります。
例えば、
・業務分析のみ
・業務フロー作成
・コンサルティング活用
・システム導入
などによって必要な予算は異なります。
ただし重要なのは費用ではなく投資対効果です。
例えば年間500時間の業務削減が実現できれば、
人件費換算で大きな成果につながる可能性があります。
また、営業部門で商談数や受注率が向上すれば売上への影響も期待できます。
単純なコストではなく、将来的な収益改善まで含めて考えることが重要です。
外部コンサルタントは必要ですか?
必須ではありません。
ただし次のような場合は外部支援が有効です。
・社内にBPR経験者がいない
・客観的な視点が欲しい
・短期間で進めたい
・大規模改革を予定している
外部の専門家を活用することで、
・業務分析
・課題整理
・プロジェクト推進
・定着支援
を効率的に進められる場合があります。
一方で、自社の業務を最も理解しているのは社内の担当者です。
そのため、外部に丸投げするのではなく、社内と外部が協力して進めることが理想的です。
BPRで最も重要なポイントは何ですか?
最も重要なのは、
「業務を変えること」ではなく、
「成果を出す仕組みを作ること」
です。
BPRの目的は改革そのものではありません。
売上向上、生産性向上、顧客満足度向上など、経営成果につながる仕組みを構築することが本来の目的です。
そのため、
・現場の理解
・経営層の関与
・継続改善
を意識しながら進めることが重要です。
まとめ|BPRは業務改革の手段であり目的ではない
BPR(Business Process Re-engineering)は、業務プロセスを抜本的に見直し、企業全体の生産性や競争力を向上させるための取り組みです。
近年は人手不足やDX推進の影響もあり、多くの企業がBPRに取り組むようになっています。
しかし、BPRの本質は単なる効率化ではありません。
重要なのは、
・業務の可視化
・課題の発見
・理想プロセスの設計
・継続的な改善
を通じて、成果を出し続ける仕組みを構築することです。
特に営業部門では、
・属人化の解消
・営業パイプラインの可視化
・商談管理の標準化
・営業活動の分業化
などによって大きな成果を生み出せる可能性があります。
また管理部門においても、
・承認フローの簡素化
・ペーパーレス化
・勤怠管理の自動化
・経理業務の効率化
などを通じて生産性向上を実現できます。
一方で、すべての業務を自社だけで最適化する必要はありません。
近年ではノンコア業務を外部へ委託し、自社の強みに集中する企業も増えています。
例えば営業部門において、
・新規開拓のアポイント獲得
・テレアポ業務
・リード獲得活動
などは営業代行会社やテレアポ代行会社へ委託する選択肢もあります。
営業代行に関する詳細はこちらでご案内しております。
テレアポ代行に関する詳細はこちらでご案内しております。営業活動そのものを見直し、
「自社で行うべき業務」と「外部を活用する業務」を整理することも、広い意味ではBPRの一つの考え方です。
BPRは一度実施して終わるものではありません。
市場環境や顧客ニーズの変化に合わせて業務プロセスを改善し続けることで、企業は持続的な成長を実現できます。
ぜひ本記事を参考に、自社の業務プロセスを見直し、より生産性の高い組織づくりに取り組んでみてください。